広教ニューズレター Vol.41
GIGAスクール後の
情報モラル教育は
どう変わっているか
鷲田 倫丈 教頭
GIGAスクール構想で情報モラル教育はどう変わったのか。
長年、倉敷市教育委員会の教育ITC推進課で情報モラル教育に携わり、現在は倉敷市立連島南小学校の教頭を務める鷲田先生にお聞きしました。
GIGAで変わる
情報モラルの在り方
―――GIGAスクール構想前と後で、情報モラル教育はどのように変わってきていますか?
GIGAスクール以前は、情報モラル教育は、生徒指導の一環として、トラブルが起きたときに、事後対応として指導するイメージが強かったように思います。しかし、GIGAスクール構想で端未やインターネットの利用が日常的になると、トラブルや問題が起きる前に、安全に正しく使うための知識やスキルを伝えるという積極的な指導に変わってきました。
―――情報モラルの指導内容も変わってきたのでしょうか?
私が関わり始めたころは、チャット・掲示板・SNSなど特定のツールに関するトラブル対応が主なテーマでした。現在は
SNSを含むネット全般の安全な使い方や、情報の正しい取り扱い方など、より幅広い視点で指導を行うようになっています。
―――鷲田先生が特に気をつけて指導していることは何ですか?
一番は、安全に使えることです。特にネットで炎上したり失敗したりしてしまうと、取り返しがつかない事態を招くこともあります。そうならないためにも、正しい知識を身に付け、上手に使えるようにすることが不可欠です。
学校だけでなく家庭と
協力して子供を育む
―――倉敷市では、二〇〇六年から「事例で学ぶNetモラル」を市内すべての小中学校で導入されていますが、現在はどのように使っていますか?
まず、授業で活用しています。例えば学活の時間などを使って、トラブルが起きそうなことや心配だなと先生が感じた内容を、先回りして学習します。この動画教材は要点がとてもコンパクトにわかりやすくまとまっているので、例えば朝の会でみんなで視聴して、感想を書いたり話し合ったりするだけでも、十分学びになるのではと感じています。
授業参観日に、「事例で学ぶNetモラル」を使った授業を行い、子供と保護者が一緒に学ぶ学校もあります。
端未を家庭に持ち帰り、保護者と一緒に教材を鑑賞し、その感想を書いて提出する宿題を出すこともあるようです。
また本校では、授業参観後に子供と保護者が一緒に情報モラルを学ぶ教育講演会を開催しています。広教さんの講師に来ていただいて、スマホやSNSの使い方、その注意点などを学んでいます。保護者からは、「スマホの使い方やルールについて、もう一度家庭で話し合いたい」など好意的な声も寄せられました。
その様子は学校通信やホームページなどでも発信し、参加できなかった保護者にも情報を届けています。
―――家庭との連携を重視しているのですね。
その通りです。学校での指導だけでは、子供たちを守ることはできません。学校と家庭が協力し、「両輪」となって情報モラル教育を進めることが重要です。
先生方の指導力が
向上してきた
―――情報モラル教育の効果は出ていますか?
倉敷市ではGIGA端未を日常的に使っており、子供同士で共同編集などを行っていますが、現在まで情報モラルに関する甚大なトラブルは起きていません。これは、先生方の指導力が向上したおかげだと感じています。
「事例で学ぶNetモラル」は、動画教材だけでなく、指導案やワークシート、板書用の資料まで一式揃っているので、先生方がとても使いやすくなっています。なにより教材内容がバリエーション豊富で、目の前の子供たちの課頸に合った指導を行えます。
情報モラルを指導しやすくなったことで、指導経験が積み重ねられ、指導力向上につながっていると感じています。
―――市教育委員会としても、学校現場での活用を支援していますか?
はい。「事例で学ぶNetモラル」は豊富な教材がそろっているため、先生方から、「どの教材を選べばよいか迷う」との声が寄せられることがあります。そこで教育委員会として「指導内容例」を作成し、情報モラル指導で身につけたい力や指導対象の目安となる学年に応じて、適したNetモラルの教材を、表にまとめ、先生方に活用いただけるよう配布しています。
―――最後に、今後の情報モラル教育の展望についてお聞かせください。
今、目の前にある課題やトラブルを防ぐためだけに情報モラル教育を行うのではなく、今後どんな新しいテクノロジーが登場してきても、「安全に正しく」使える人間を育てることが求められると思います。学校を卒業しても情報モラルについて学び続ける姿勢や、自分で適切な判断をして安全に正しく、上手に活用できる力を育んであげたいと願っています。そのためにも、学校と家庭が一体となり、子供たちの成長を支えていきたいと思います。


